HOME > 製品安全データシート > 希硫酸

製品安全データシート

722002

希硫酸

製造者
会社名 : 大盛化工株式会社
郵便番号 : 587-0012
住所 : 大阪府南河内郡美原町多治井633
担当部署 : 品質管理課
担当者(作成) : 平川 健一
TEL : 0723-61-3345
FAX : 0723-62-3659
作成 : H7/07/01
改訂 : H10/02/23
管理番号 : TA-SQ-01
充填製造者及び販売者
会社名 : 株式会社 内藤商店
郵便番号 : 460-0002
住所 : 名古屋市中区丸の内3丁目8番3号
担当部署 : 製造部
TEL : 052-962-5551
FAX : 052-961-5901
緊急連絡先 : 052-962-5551
受付時間 : 月曜日〜金曜日 8:00−17:00
改訂 : 2001/01/29
MSDS a@: MSDS-722002

製品名(化学名・商品名等) : 薄硫酸・希硫酸

物質の特定
化学名 : 硫酸
成分及び含有量 : 硫酸分として10%以上、89%以下
化学式 : H2SO4
官報公示整理番号 化審法: 1−430
CAS a@: 7664-93-9
国連分類 : 8(腐食性物質)
国連番号 : 1830(51%超)
  2796(51%以下)
危険有害性の分類
分類の名称 : 急性毒性物質、腐食性物質
危険性 : 爆発性、引火性いずれもないが、密閉容器内で硫酸によって鉄が侵され、水素が発生した場合は、引火、爆発の危険がある。濃度の高い硫酸は有機物と接触すると発火の恐れがある。
有害性 : 皮膚に接触すると重傷の薬傷を起こし、目に入れば失明することもある。飲んだ場合は死亡の原因となる。加熱した硫酸からでる蒸気を多量に吸引すると上気道から肺組織の損傷を受ける。硫酸の蒸気又はミストを繰り返し吸入することにより慢性の上気道炎又は気管支炎を起こす。また、歯牙酸食症ではしばしば歯の表面が黒変することもある。
環境影響 : 高濃度のものは生物に影響をおよぼすこともある。
応急処置
眼に入った場合 : 少量でも眼に入った場合は、直ちに多量の水を用いて15分間以上洗い続けなければならない。その際瞼を良く開いて、眼球、眼の隅々まで水がよく行き渡るように洗う。医師は出来るだけ早く呼ぶ。医師の到着が遅れる場合は15分間、水洗いする。医師の指示無く油類や油性塗り薬を用いてはならない。
皮膚に付着した場合 : 直ちに多量の流水で十分に洗い続ける。この場合アルカリ溶液などを用いて酸性を中和してはならない。部分的に硫酸の付着した衣服は直ちに全部脱ぎ取り、多量に付着した場合は衣服を急に脱ぎ取る前に多量の水でを洗い流す方が良い。重度の薬傷あるいは広範囲にわたる薬傷の場合には、速脈、発汗、虚脱のようなショック症状をいつ起こすかもしれない。このような症状が現れた場合には患者の背を下にして寝かせ、医師を呼ぶ。医師の指示無く油類や油性塗り薬を薬傷部に塗ってはならない。
吸入した場合 : 硫酸ミストや蒸気を吸入したときは、直ちに患者を毛布にくるみ、吸入した場所から新鮮な空気が得られる場所に移す。速やかに医師の手当を受ける。酸素を吸入させるときは医師の認めた者のみが行わなければならない。
飲み込んだ場合 : 硫酸を飲み込んだ場合は、口、喉、食道、胃の粘膜に薬傷を起こす。患者に硫酸を吐かせようとしてはならない。意識を失っている患者に何物も与えてはならない。患者の意識が明瞭なときは、元気づけて口を多量の水で洗わせた後、出来れば卵白を混ぜたミルクを飲ませると良い。直ちにこのような処置が執れない場合には、水を飲ませる。医師はできるだけ早く呼ぶ。
火災時の処置
消火方法 : 硫酸自体は不燃性であり、助燃性でもないが、硫酸を取り扱う作業所などで火災が起こったときは、霧状の水などを用いる消火器を使用して消火するのがよい。棒状の水を噴射するものは、硫酸飛沫を飛ばす恐れがあるから注意して使用する。容器周辺の火災の場合は、速やかに安全な場所に移す。移動不可能な場合は、容器及び周囲に散水して冷却する。消火の際は保護衣を着用し、目、鼻、口を覆う保護具(ホースマスク)を着用することが望ましい。
消火剤 : 霧状の水、泡、蒸発性液体、不燃性ガス、粉末消火剤が有効である。
漏出時の処置
風下の人を退避させる。漏洩した場所の周囲にロープを張るか付近に警告を発するなどして人の立入りを禁止する。
漏洩した箇所の修理その他作業に当たる者は、保護眼鏡、保護手袋、保護長靴、保護衣、安全帽などの必要な保護具を着用する。
漏洩事故を起こした場合は、必要な処置を行った後、直ちに出荷者又は販売店へ連絡し、必要に応じて消防機関、保健所、警察署へ通報する。
少量の場合は土砂等に吸着させて取り除くか、又はある程度水で希釈した後、消石灰、ソーダ灰等で中和し、多量の水を用いて洗い流す。
多量の場合は漏洩した液は、土砂等でその流れを止め、これに吸着させるか又は安全な場所に導いて、遠くから徐々に注水してある程度希釈した後、消石灰、ソーダ灰等で中和し、多量の水を用いて洗い流す。
水で洗い流すときは、河川、海域等へ流入する事によって公害問題を起こす恐れがあるから注意する。
取り扱い及び保管
 取り扱い :
取り扱いは、換気の良いところで行うことが望ましいが、換気の悪い場所では、ガスや蒸気を吸入しないように注意する。
有機物、硫酸塩、炭化物、塩素酸塩、金属粉などと離れた場所で取り扱う。
硫酸が体に触れて薬傷を起こさないように作業員は必ず必要な保護具を着用し、且つ作業場付近に十分な水を用意しておく。
硫酸容器は破損しないように十分注意して取り扱う。
ポリエチレン容器等の栓を取るときは、酸の噴出の恐れがあるから、顔や手を容器の口に近づけない。
ドラム缶の栓を外すときは、ドラム缶の片側に立って顔を遠ざけて徐々に1回転未満緩め、内部の圧を抜きさらに徐々に緩めて取り外す。
容器から硫酸を取り出すときは、まず固定して動かないようにし、特別に作られた傾斜装置、安全サイホンなどを用いて注意深く行い、空気圧を利用して取り出してはならない。
硫酸を希釈するときは、常に酸を少量づつ水を攪拌しながら加える。逆に酸に水を加えると急激な発熱によって酸の飛沫が飛ぶことがあるから、行ってはならない。
硫酸の入っているドラム、タンクローリー、タンク車、貯蔵タンク(いずれも鋼製の場合)の中では水素が発生する恐れがあるから、内容物の有無にかかわらずドラム、タンクの近くでの火の使用は禁止する。またこれらをハンマーでたたいて火花を発する等の行為は行ってはならない。
空の容器は出荷者へ返送する前に硫酸を完全に排出しておく。
 保管 :
濃度の高い硫酸は、鉄を溶かす性質があるから、保管は鉛またはプラスチック等の耐酸材料を使用した容器を用いる。
他の薬品、有機物等から遠ざけて保管する。
硫酸が漏出しても地下に浸透しないように床は耐酸材料で施工する。
ポリエチレンビン等の小型容器はなるべく直射日光を避けて冷暗所に貯蔵する。
ドラム缶は内圧を除くため、貯蔵期間が長期にわたるときは毎週1回程度ガス抜きをする。
漏出した酸が貯蔵所外に流出しないように流出防止施設を設ける。
暴露防止措置
 許容濃度 :
ACGIH(TLV) : TWA 1mg/m3 (1990)  
STL 3mg/m3 (1990)  
日本産業衛生学会(1990) : 1mg/m3  
 保護具 :  
  硫酸を取り扱うときは、作業に応じて必要な保護具を着用する。
   (呼吸具、亜硫酸ガス用防毒マスク、保護眼鏡、ゴム手袋、耐酸性靴、耐酸性作業衣、安全帽)
物理/化学的性質
外観等 : 常温では無色透明な液体。工業用はわずかに着色していることもある。無臭。
濃度(%) 比重(15/4)℃
20 1.142
34 1.255
62.5 1.530
89 1.814
濃度(%) 沸点(℃) 凝固点(℃)
19.9 104 −13.6
34.6 110 −56.4
62.2 144 −31.9
88.7 247 −0.4
濃度(%) 融点(℃)
19.6 −9.8
34 −40以下
62.5 −40以下
88.2 −7.2
濃度(%) 蒸気圧(30℃)
30 23.8mmHg(3.17KPa)
60 5.41mmHg(721Pa)
80 0.183mmHg(24.4Pa)
危険性情報(安定性/反応性)
発火性 : 濃硫酸は水に溶解して多量の熱を発生するが、硫酸自体は燃焼しない。
安定性・反応性 : 加熱すると二酸化硫黄を発生する。水と混合すると発熱する。空気と長く接触していると空気中の水分を吸収して表面が希釈される。
有害性情報
皮膚腐食性 : 皮膚に接触すると重度の薬傷を起こす。
刺激性 : 蒸気は刺激性がある。硫酸が眼にはいると失明することがある。
急性毒性 : 経口 ラット LD50 2140mg/kg(濃度21.6%)
吸入 モルモット(成熟) LC50 50mg/m3・8時間(ミスト粒経1μ)
飲み込んだ場合は重傷の障害あるいは死亡の原因となる。
慢性毒性 : 硫酸蒸気またはミストを繰り返して吸入した場合は、上気道炎又は気管支炎になることがある。また、歯牙酸食症を起こすこともある。
環境影響情報
−−−−−
廃棄上の注意
そのまま廃棄せず、消石灰などで中和してから「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に従って廃棄する。
容器を処分するときは、中身を処理してから処分する。
硫酸を中和する場合は、下記の中から必要に応じて選択して着用する
   皮膚(保護手袋、保護長靴、保護衣)
   眼(保護眼鏡、顔面シールド)
   呼吸器系(ホースマスク、空気呼吸器、酸素呼吸器、防毒マスク)
運送上の注意
他の物質との混載はなるべく避ける。
硫酸の移動、容器への充填、積み込み、荷下ろし等の作業を行うときは必要な保護具(暴露防止措置・保護具 参照)を着用する。
衝撃、転倒、墜落等によって容器から硫酸が流れ出たり、飛散したりしないよう慎重に取り扱う。
車両で多量の硫酸を運搬するときは、できるだけ交通量の少ない道路を選び、硫酸の漏出などのため災害発生の恐れがあるときには、応急処置を講ずると共に、必要に応じて消防機関、保健所、警察署に連絡する。(漏出時の処置参照)
車両で運搬する場合、積み替え、休憩、車両故障等のため一時停止するときは、出来るだけ安全な場所を選ぶ。
適用法令
毒物及び劇物取締法‥‥‥‥‥‥劇物
労働安全衛生法‥‥‥‥‥‥‥‥特定化学物質等 第三類物質
危険物船舶輸送及び貯蔵規制‥‥腐食性物質
消防法‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥消火活動阻害物質(濃度60%以下を除く)
引用文献
 (1)Chemical Safety Data Sheet SD-20 (sulfuric Acid) MCA
 (2)化学防災指針2 1979 丸善
 (3)化学物質毒性データ総覧 1976 日本メディカルセンター
 (4)産業中毒便覧増補版 後藤 外 1981 医歯薬出版
 (5)IARC MONOGRAPHS VOLUME54
 (6)硫酸ハンドブック改訂版 1977 硫酸協会
記載内容の問い合わせ先
 大盛化工株式会社 本社工場 TEL0723−61−3345
 営業所 TEL06−6228−0391
その他
 記載内容は、現時点で入手できる資料・情報・データ等に基いて作成しておりますが、いかなる保証をなすものではありません。また、注意事項や取り扱いなどにおいても、すべてを網羅したものではありませんので取扱いには十分注意して下さい。

業務販売窓口はこちら
受託生産
暮らしと薬学
化学薬品,工業薬品,食品添加物
試験薬品(試薬)
販売,製造,OEM,相談
株式会社 内藤商店
〒460-0002
愛知県名古屋市中区
丸の内3丁目8番3号
TEL (052)962−5551
FAX (052)961−5901