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製品安全データシート

092201

濃硫酸

製造者
会社名 : 株式会社 樋江井商店
住所 : 《本 社》〒462-0844 愛知県名古屋市北区清水3丁目 13-24
《営業所》〒480-0134 愛知県丹羽郡大口町豊田3丁目 264
担当部署 : 営業部
担当者(作成) : 樋江井 正博
TEL : 0587-95-4777
FAX : 0587-95-2738
作成・改訂 : 2001/5/19・2006/3/6
充填製造者及び販売者
会社名 : 株式会社 内藤商店
郵便番号 : 460-0002
住所 : 名古屋市中区丸の内3丁目8番3号
担当部署 : 製造部
TEL : 052-962-5551
FAX : 052-961-5901
緊急連絡先 : 052-962-5551
受付時間 : 月曜日〜金曜日 8:00−17:00
改訂 : 2001/01/19
MSDS a@: MSDS-092201

製品名(化学名・商品名等) : 濃硫酸

組成、成分情報
単一製品・混合物の区分 : 単一商品
化学名又は一般名 : 硫酸
成分及び含有量 : 90〜98%(W/W)
化学式又は構造式 : H2SO4
官報公示整理番号: 化審法:(1)−430(硫酸)
CAS a@: 7664-93-9
危険有害性の要約
分類の名称 : 急性毒性物質、腐食性物質
物理的及び化学的危険性 : 本製品自体には爆発性、引火性などの危険性はない。水と接触すると激しく発熱する、注水は厳禁。密閉容器内で硫酸によって鉄が侵され、水素が発生した場合は、引火、爆発の危険がある。高濃度の硫酸が有機物と接すると、発火の恐れがある。
有害性 : 過熱した硫酸から出る蒸気を多量に吸入すると、上気道から肺組織の損傷を受ける。飲み込んだ場合は死亡の原因となる。硫酸の蒸気又はミストを繰り返し吸入すると、慢性の上気道炎又は気管支炎を起こし、歯牙酸食症で歯の表面が黒変することもある。皮膚に触れた場合、強い脱水作用があり重症の薬傷を起こす。眼に入った場合、結膜や角膜が激しく侵され、失明することがある。
環境影響 : 酸性溶液である為、水棲生物に対して有害な影響を及ぼす可能性がある。
応急処置
眼に入った場合 : 直ちに多量の水道水(流水)で15分間以上洗浄する。洗浄が遅れたり、不十分だと眼の障害を生ずる恐れがある。すぐに眼科医の診断を受ける。コンタクトレンズを使用している場合は、固着していない限り取り除いて洗浄する。
皮膚に付着した場合 : 直ちに多量の水で洗い流す。この場合、アルカリ液などを用いて硫酸を中和してはならない。部分的に硫酸の付着した衣服は直ちに全部脱ぎ取り、多量に付着した時は衣服を急に脱ぎ取る前に、多量の水で洗い流す方が良い。重症の薬傷あるいは広範囲にわたる薬傷の場合には、速脈、発汗、虚脱の様なショック症状をいつ起こすかもしれないので、このような症状が現れた場合には患者の背中を下にして寝かせ、早急に医師を呼ぶ。医師の指示なしに油類や塗り薬を薬傷部に塗ってはならない。
吸入した場合 : 硫酸ミスト又は蒸気を吸入した時は、直ちに患者を毛布等に包んで安静にさせ、新鮮な空気が得られる場所に移し、速やかに医師の診断を受ける。酸素吸入は医師の認められた者のみが行わなければならない。
飲み込んだ場合 : 口内や咽喉、胃などに薬傷を起こしているかもしれないので、吐かせようとしてはならない。意識が明瞭な時は、口を多量の水で洗わせた後、卵白を混ぜたミルクや多量の水を飲ませ、速やかに医師の診断を受ける。意識がない時は、何も与えないで医師に任せる。
火災時の措置
特定の消火方法 : 本製品自体は不燃性であり、助燃性もないが、硫酸を取り扱う作業所で火災が起こったときは、霧状の水などを用いる消火器を使用して消火する。棒状の水を噴射する消火器は硫酸飛沫を飛ばす恐れがあるので注意して使用する。容器周辺の火災の場合は、速やかに容器を安全な場所に移す。移動不可能な場合には、容器及び周囲を霧状の水で冷却する。消火の場合には保護具を着用し、目、鼻、口を覆う呼吸器(ホースマスクなど)を着用する事が望ましい。
消火剤 : 霧状の水、泡、二酸化炭素、ハロゲン化物、粉末消火剤、土砂、炭酸ソーダ
漏出時の措置
人体に対する注意事項 : 作業の際には必ず保護具を着用し、飛沫などが皮膚に付着したり、ガスを吸入しないようにする。
除去方法 : 漏出源を遮断し、漏れを止める。漏洩した液が少量の場合は、漏洩した液を土砂などに吸着させて取り除くか、又はある程度水で除々に希釈したあと、消石灰、ソーダ灰などで中和し、多量の水で洗い流す。漏洩した液が多量の場合は、漏洩した液を土砂などでその流れを止め、これに吸着させ るか、又は安全な場所に導いて、遠くから除々に注水してある程度希釈したあと、消石灰、ソーダ灰などで中和し、多量の水で洗い流す。発生するガスは霧状の水をかけて吸収させる。濃厚な廃液が河川などの排出しないように注意する。
二次災害の防止策 : 漏出した場所の周辺にロープを張るなどして、関係者以外の立ち入りを禁止する。悪臭、有害性又は刺激性が強いので、周辺の住民に漏洩の起きたことを通報するなどの適切な措置を行う。付近の着火源となるものを速やかに取り除く。
取り扱い及び保管上の注意
取り扱い : 「毒物及び劇物取締法」により「劇物」に指定されている。従って取り扱いにおいては当法律に従う事。
注意事項 : 取扱いは換気の良い場所で行う事が望ましいが、換気の悪い場所ではガスや蒸気を吸入しないように注意する。有機物、硫酸塩、炭化物、塩素酸塩、金属粉等、反応性の大きい物質と離れた場所で取り扱う。作業員は必ず必要な保護具を着用し、かつ作業場付近には十分な水を用意しておく。硫酸容器は破損しないよう十分注意して取り扱う。ポリエチレン容器などの栓を取る時は、酸の噴出があるから、顔や手を容器の口の上に近づけない。ドラムの栓を外すときは、ドラムの片側に立って顔を遠ざけて徐々に1回転未満ゆるめ、内部の圧を抜き、さらに徐々にゆるめて取り外す。容器から硫酸を取り出す時は、まず固定して動かないようにし、特別に作られた傾斜装置、安全サイホン等を用いて注意深く行い、空気圧を利用して取り出してはならない。硫酸を希釈するときは、常に水を攪拌しながら硫酸を少しずつ加える。逆に、硫酸に水を加えると急激な発熱によって酸の飛沫が飛ぶ事があるから、絶対に行ってはならない。硫酸の入っているドラム、タンクローリー、タンク車、貯蔵タンク(いずれも鉄製の場合)の中では水素が発生する恐れがあるから、内容物の有無に関わらずドラム、タンクの近くでの喫煙や火気の使用は禁止する。また、これらをハンマーでたたいて花火を発するなどの行為は行ってはならない。空容器は出荷者へ返送する前に硫酸を完全に排出しておく。
適切な保管条件 : 容器は衝撃に強く、耐食性のものを用い、内容物が漏れないようにする。タンク貯蔵の場合は、残存量を常に確認しオーバーフローによる危険を防止する。硫酸容器は屋外に置く事が望ましい。漏出した液が貯蔵所外に流出しないように流出防止施設を設ける。硫酸貯蔵所内下水を設けて、こぼれた硫酸を多量の水で流し出す事ができるようにしておく必要がある。硫酸を地下室に貯蔵する事は不適切である。直射日光を避け、40℃以下に保ち通風を良くする。漏れガスが室内に滞留しない構造の場所に置く。酸、金属、爆薬、有機過酸化物などからは離して貯蔵する。硫酸が漏出しても地下に浸透しないように、床は耐酸材料で施工する。ポリエチレンびん等の小型容器はなるべく直射日光を避け冷暗所に貯蔵する。ドラム缶は内圧を除くため、長期間の貯蔵の際は毎週1回程度ガス抜きをする。
暴露防止及び保護措値
管理濃度 未設定
設備対策 取扱い場所には、全体換気装置を設置する。密閉された装置。機器又は、局所排気装置を使用する。取扱い場所の近くに、洗顔及び身体洗浄のための設備を設ける。
許容濃度
ACGIH   (1999) : TLV TWA 1 mg/m3
TLV STEL 3 mg/m3
OSHA : PEL TWA 1 mg/m3
日本産業衛生学会(2000) : 1 mg/m3
保護具  
安全帽
保護眼鏡(ゴーグル、全面型)
呼吸保護具(酸性ガス用防毒マスク、送気マスク、空気呼吸器ライフゼム)
保護服(耐酸性)
保護手袋(耐酸性)
保護靴(耐酸性ゴム長靴)
物理的及び化学的性質(98%濃硫酸に対する資料を記載)
物理的状態  
形状 : 無色又は僅かに着色した粘い油状の液体、無臭
比重 : 1.84(at 20℃)
沸点 : 327℃
融点 : 3.0℃
凝固点 : -1.1℃
蒸気圧 : 1.3Pa(0.01mmHg)
引火点 : 不燃性
発火点 : 不燃性(有機物と接触すると発火する場合がある)
爆発範囲 : 不燃性
発火性 : 自然発火性はないが、水と混合すると激しく発熱する。
安定性及び反応性(98%濃硫酸に対する資料を記載)
反応性 : 水と混合すると激しく発熱する。加熱すると沸点までは硫酸蒸気が発生し、それ以上では三酸化硫黄の発生が多くなる。1000℃以上では分解して二酸化硫黄が発生する。燃焼により、硫化水素、二酸化硫黄、三酸化硫黄などの有毒ガスを発生する。鉄などの金属と反応し、水素が発生したときは引火・爆発の危険がある。塩素酸塩と接触すると火災や爆発の危険がある。
有害性情報(98%濃硫酸に対する資料を記載)
急性毒性 :
経口 ラットLCL50 2140mg/kg
吸入 ヒト    TCLo 0.8mg/m3
モルモット LC50 50mg/m3/8H
ラツト  LC50 510mg/m3/2H
ラット  LCLo 178ppm/7H
注)TCLo:最小中毒濃度、LC50:50%致死濃度
LCLo:最小致死濃度、LD50:50%致死量
慢性毒性・長期毒性 : エアロゾルを反復又は長期間暴露すると、上気道炎又は気管支炎になることがある。蒸気又はミストを繰り返し吸入した場合は、歯牙酸食症を起こすこともある。
催奇形性 : マウスの妊娠6〜15日目あるいはウサギの妊娠6〜18日目に、5又は20mg/Lの硫酸を7時間/日の割合で吸入暴露した試験では、催奇形性は認められなかった。
変異原性 : 記載文献なし
その他 :
腐食性 眼、皮膚、気道に対して強い腐食性を示す。経口摂取でも同様に強い腐食性を示す。
刺激性 蒸気は刺激性がある。エアロゾルを吸入すると肺水腫を起こすことがある。眼に入った場合は失明することがある。
環境影響情報
生態毒性 : 環境に有害な場合があるので、漏洩時、廃棄などの際には注意を守る事。特に水棲生物への影響に注意する。
廃棄上の注意
廃棄の方法
法令で定める技術上の基準に従わなければ廃棄してはならない。(毒物及び劇物取締法15条の2)
廃棄の方法(中和法)
徐々に石灰乳などの攪拌溶液に加えて中和させたのち、多量の水で希釈して処理する。廃棄処理に伴う生成物については、水質汚濁防止法など関連諸法令に適合するよう十分に注意しなければならない。
運送上の注意
国連分類 : クラス8(腐食性物質、危険等級U)
国連番号 : 1830(硫酸、濃度が51質量%を超えるもの)
国内規制
輸送の特定の安全対策及び条件:送上の注意としては、毒物及び劇物取締法にかかわる運搬に関する規制がある。運搬する場合には、飛散し、漏れ、流出、又はしみ出る事を防ぐのに必要な処置を講じなければならない。(毒物及び劇物取締法第11条)5トン以上を車両により運搬する場合には、その運搬方法は毒物及び劇物取締法第40条の5に示す基準に適合すること。厚生省令で定める距離をこえて運搬する場合には、車両1台について運転者のほか交代して運転するもの、又は助手を同乗させる事。車両には、0.3メートル平方の板に地を黒字、文字を白色として「毒」と表示した標識を掲げること。車両には保護具(防毒マスク、保護手袋、保護長靴、保護服、保護眼鏡、イエローカード)を2人分以上備えなければならない。
適用法令
消防法 : 第9条の2 貯蔵等の届け出を要する物質政令別表第2(200kg)
(但し濃度60%以下を含有するものを除く)
毒物及び劇物取締法 : 第2条別表第2 劇物
(硫酸及びこれを含有する製剤。ただし濃度10%以下を含有するものを除く)
労働安全衛生法 : MSDS対象物質
施行令別表第3 特定化学物質等(第3類物質)(硫酸濃度1%以下のものを除く)
労働安全衛生規則 : 第326条 腐食性物質
海洋汚染防止法 : 施行令別表第1 有害液体物質(C類)
危規則 : 第3条危険物告示別表第3 腐食性物質 R−上/上 等級2
航空法 : 施工規則第194条 危険物告示別表第11 腐食性物質Q-等級2旅客禁止
港則法 : 施工規則第12条 危険物告示腐食性物質
大気汚染防止法 : 第17条 特定物質
PRTR法 : 該当しない
引用文献
・Chemical Safety Data Sheet SD-20(Sulfuric Acid),MCA
・化学防災指針(日本化学界)
・硫酸ハンドブック(硫酸協会)
・産業中毒便覧増補版(医歯薬出版)
・硫酸工業便覧(河出書房)
記載内容の問い合わせ先
 株式会社 樋江井商店  Tel:0587-95-4777 Fax:0587-95-2738
その他
記載内容は現時点で入手できる資料、情報、データに基づいて作成しておりますが、含有量、物理化学的性質、危険・有害性などに関しては、いかなる保証をなすものではありません。また、注意事項は通常の取り扱いを対象にしたものですので、特殊な取り扱いの場合には、用途・用法に適した安全対策を実施の上、ご利用ください。

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